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「ワーク・ライフ・バランスと地域の人づくりを考える会」提言

「明日の地域を支える人材づくりを」


ワーク・ライフ・バランスの実現を図るためには、産業・企業のレベルだけでなく、生活 の場に近い地域レベルでの検討も欠かせない。その際、まずは雇用確保が前提となるが、 地域の雇用情勢は総じて厳しい状況にある。さらに、少子高齢化と人口減少のなかで地域 コミュニティそのものが危機に瀕しているところも少なくない。こうしたなか、地域の活 性化を促し、雇用を内発的に創出していくため、こうした取組みを担う人材の確保・育成 を進めることが必要であるが、特に現役世代が様々な地域活動に参加することへの支援は、 ワーク・ライフ・バランスの重要な課題のひとつでもある。
そこで、「ワーク・ライフ・バランスと地域の人材づくりを考える会」(座長 樋口美雄 慶応義塾大学教授)では、こうした諸問題について、地域再生の視点もふまえながらそ の解決に向けた方策を検討してきたところであり、今般、その結果を次のような提言と してとりまとめた。

1 グローバル化と人口減少など環境変化が進む中で、地域の活力も低下。その状況を打破 する鍵は、現場からの発想と主体的な意識を持って地域の活性化を図るような人材の確 保と育成にあるが、このことは今回の大震災からの復旧・復興に際しても改めて認識。

2 「地域の人材づくりにおける課題」としては、以下の二つに集約。
(1) 地域活性化のリーダーの不在
・ 地域活性化を進めるリーダーやその後継者が不足。地域の諸活動に、引退した高齢者や 家庭主婦だけでなく、現役世代の参加を促すことが必要。
・ その格好の参加機会ともなるコミュニティビジネスの経営基盤が脆弱であるとともに、 その中核となる人材の能力向上が急務。
(2) 次世代を担う子どもたちへの教育力の低下
・ 学校と地域の連携など地域の関係者が相互協力して取り組む体制が不十分であるとと もに、多くの人との関係の中での能力育成など、学校外での多様な教育機会整備が必要。
・ 卒業後も追加的な教育を受ける機会の整備が重要であるが、とくに若者の中でも無業者 や働いても定職に就けない者に対するフォローが必要。

3 このため、特に現役世代の参加を促すことで、これらの課題を解決していく必要。具体 的には、以下のように「地域の人材づくりにむけた新たな仕組み」の構築を提案。
【提案1】現役世代が地域活動に参加できるようワーク・ライフ・バランスを一層推進するとと もに、現役世代はじめ多くの人材がネットワークされ協働できる基盤づくりを行う。
【提案2】地域の資源・人材を有効活用した地域リーダーの育成やコミュニティビジネスの支援 を強化するため、その推進母体となる「地域人材づくり民間機構」を設立する。
【提案3】学校・行政、企業、労組、NPO、住民などを組織化し、学校を応援し、子どもたちに 対する教育力や若者への能力開発支援を高めるための新たな仕組みづくりを進める。

4 「自らの地域は自らの手でつくる」といった精神のもとに、学校、企業、労働組合、行 政、住民自身など多くの関係者のパートナーシップによって、地域の人材づくりを進め る必要。このため、上述の提案による新たな仕組みをモデル的に構築し、これらの活動 を担うリーダーづくりをはじめとした取り組みを全国へと展開することを期待。

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(発表日:2011年12月26日)
アピール一覧

アピール2012

「ワーク・ライフ・バランスに社会の視点を」

提言2011

「ワーク・ライフ・バランスの論議に新たな視点をを」

アピール2010

「ワーク・ライフ・バランスの一層の推進で新しい成長を促そう」

アピール2009

「ワーク・ライフ・バランスで次の飛躍のための基礎固めを」