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提案2016

「組織起点」から「個人起点」でのワークライフバランス推進へ転換を
  〜時間のゆとりを創り出し、希望を見い出す生き方・働き方の実現〜


       2016年8月9日 加藤勝信 一億総活躍担当 働き方改革担当大臣との面談

        加藤大臣(中央)に提案書を手渡す石塚代表幹事(左)、相原幹事(右)

 これまでワークライフバランス推進は、組織メリットに重きが置かれてきたが、本来、個人の生活や社会の質を高めることである。人生の充実、一生の中での仕事の充実という視点で捉え、仕事や働き方、生活とのバランスの在り方を個人起点で考えるべきである。日々の仕事と生活に、充実感や自分の成長を実感できる自分の人生に希望を見い出すワークライフバランスこそ、今後目指す姿である。
近年、個人を取り巻く環境が大きく変化している。長寿化により、定年後の人生が長くなり、定年後も含め仕事以外の時間の過ごし方や、年齢に捉われず働き続けることなどを、一律ではなく、一人ひとりが望む生き方・働き方を考える時代となった。
 さらに、グローバル化の中で社会の成熟化や産業の高度化などが進み、必ずしも一社で生涯働き続けなければならない時代ではない。加えてAI、IoT等技術革新などが急速に発展することにより、雇用や労働の姿も激変の時代を迎えている。また、経済成長を経験したことのない個人が増え、国や企業、そして、自分にも夢や希望をもてない世代が多くなっていることにも真摯に向き合うべきであると考える。
 従って、一人ひとりが自らの人生を設計するという意識を持ち、社会変化に適応することを考えなければならない。自分の成長と幸せのために前進していくという、個人の意識改革が重要であり、生き方・働き方について、自ら考え、目標を設定して行動する「自律性」が求められる。
 こうした観点から、我々は、これまでの組織での推進を中心にした活動から進化させ、個人の生き方・働き方をより良くするために、個人・組織・社会はどうあるべきか議論を重ねてきた。
 個人の選択を尊重する社会、多様な働き方を可能にする社会、エイジフリーを実現できる社会の構築を目指し、多様な人材が生涯にわたり活躍できるダイバーシティ社会の実現、そのための個人起点に立ったワークライフバランスの実現のさらなる推進が必要と考え、上記の提案と以下の行動を提案したい。

個人と組織への具体的な5つの行動提案


1.生涯にわたり活躍できるよう、中長期視点で、自らキャリアの形成を図ろう
仕事や働き方への意識が短期的、また、転職・独立への希望を持ちながら働いている傾向が調査から見える。若い世代を含め、年齢に関係なく、自らの仕事キャリアについて真剣に考える機会を積極的に増やすことが必要である。
生涯活躍を意識して、仕事・職業生活後も含め、時間軸と価値観を広げ、短期・中長期の視点から、セカンドキャリア・サードキャリアを含め生涯キャリアについて考えることが前提である。
               *ここでいうキャリアとは仕事や仕事以外の活動を含む人生設計のこと

=以上を踏まえ、下記への取り組みが必要と考える=

2.労働生産性を意識した働き方により、時間のゆとりを創出しよう
仕事を勤務時間内に終える工夫や長時間労働とならない職場の雰囲気がない傾向も調査から見えるため、個人が時間と仕事の成果への意識を持つようにする。時間のゆとりを作り出すには、組織だけでなく、個人も独自に工夫を加え、労働時間削減・有休の計画的取得に取り組み、メリハリある働き方や健康管理への意識を高める。
組織は、労働時間の長さではなく効率・生産性が評価される仕組みの導入や、IT利活用や業務の無駄取りなどで省力化を図り、労働生産性を意識した働き方を推進する。

3.技術革新・環境変化に適応するために、学び直しに取り組もう
能力開発や自己啓発への取り組みが進んでいない、また、必要性を感じていないという調査結果から、自らの能力開発・キャリア開発・専門性向上のため、組織が提供する教育だけでなく、自己啓発に計画的・継続的に取り組む意思を持つようにする。
今後、AI、ロボット、IoTなどの新技術が急速に発展していくことから、時代社会の変化に対応していくため、何よりも豊かな人生を過ごすためにも、年齢に関わらず、学び直しや長期教育訓練への取り組みが欠かせない。

4.多様な個人ニーズを理解して、柔軟な働き方を実現しよう
フレックスタイム、テレワークなど時間・場所の選択や、自己申告制度(社内公募制・社内FA制度など)の利用で希望する仕事選択などの環境が整備・認識されていないという調査結果から、組織は、個人(従業員)の希望する働き方に耳を傾け、制度の活用方法について十分な情報提供を行うなど、個人のニーズに応じた運用が求められる。
仕事と生活のバランスのニーズは多様化しており、育児・介護との両立、自己啓発や健康管理など様々である。働き方についても、組織・個人ともに、一律を前提にした考え方から、他者との違いや多様性を受け入れて選択・行動する姿勢に転換して行く。

5.生涯活躍を意識し、社会活動へ積極的に参画しよう
仕事以外に社会と関わる時間を増やしたいと思う人は、若い年代ほど多い傾向が調査から見える。通常と異なる経験を重ねることは、成長する上で大きな価値を生む。仕事面でも新しい視点からの発想を生み出すことができるよう、組織も応援すべきである。
定年後においても社会貢献への意識を持てるよう、社会との関わりを早期から持つことが重要である。実務経験者が学校教育で教える、次世代育成への貢献できる人材の活躍も期待される。

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■「ライフスタイルと働き方に関する実態調査」印刷用(PDF)はこちら

(発表日:2016年8月9日)

アピール一覧

提案2016

「組織起点から個人起点でのワークライフバランス推進へ転換を」

アピール2013

「成長戦略の基盤はワーク・ライフ・バランス」

アピール2012

「ワーク・ライフ・バランスに社会の視点を」

提言2011

「ワーク・ライフ・バランスの論議に新たな視点をを」

アピール2010

「ワーク・ライフ・バランスの一層の推進で新しい成長を促そう」

アピール2009

「ワーク・ライフ・バランスで次の飛躍のための基礎固めを」